プロジェクタースクリーンの上黒の長さの決め方
上黒とは

主にホームシアター用のスクリーンには四隅に黒いマスクがあります。
(マスクが無いスクリーンを使用される方もいます)
マスクの有無については、下記の写真をご覧頂ければ一目瞭然です。

左側のスクリーンがマスク有りのスクリーンですが、上部の黒い部分を上黒と言います。
上黒には視覚的なコントラストを高める効果があり、映像の輪郭がっきりと際立ち、画質が向上したように感じられます。
よって映像美にこだわりたいホームシアターユースでは、マスク有のスクリーンを選ぶ方が多く、ビジネスシーンでは様々なアスペクト比の映像に対応できるよう、マスクなしスクリーンを選ぶことが多いです。
さて、設置場所、主には天井の高さ(スクリーンを設置する高さ)に応じて、その長さを変更することで、最適な視聴ポジションを得ることができます。
では、どれくらいの長さにするのが良いのでしょうか。
今回は上黒の長さの決め方について分かりやすく解説します。
最適な上黒の長さの決め方
最適な上黒の算出方法をご紹介しましょう。
実際にご家庭でスクリーンを取り付けることを考えてシミュレーションしてみます。
今回は天井に取り付けることを想定します。
主な手順
主な手順は下記になります。
1)天井の高さを測る。
2)視聴ポイント決める。
3)視聴距離を測る。
4)視聴ポイントからスクリーンを見て、イメージセンターの高さを測る。
5)スクリーンの寸法にあてはめて上黒を計算する。
以上の1)~5)の流れで最適な上黒の長さを決めることができます。
詳しく解説します。
1)天井の高さを測る
天井の高さを測ります。
天井の高さをメモしましょう。
天井の高さ:___________mm
例として2400mmとします。
2)視聴ポイントを決める
続いて、視聴位置を決めます。
ソファなどを設置して視聴する方が多いと思います。
その位置を決めてください。
3)視聴距離を測る
視聴位置の自身の目の位置からスクリーンまでの距離を測ります。
置物のように微動だにせず映画を見るわけではありませんので、大よそで問題ありません。
視聴距離をメモします。
視聴距離:___________mm
例として3000mmとします。
4)視聴ポイントからスクリーンを見て、イメージセンターの高さを測る
ここがポイントです。
この計測は実際に想定しながら行うのが良いでしょう。
今回の場合では3m先にスクリーンがあると想定して、ソファーに座ったつもりで、映像の中心位置を考えます。
これにより見上げ角度が確定します。
目線からイメージセンターを水平に見た場合0°です。
イメージセンターとはプロジェクターから投影される映像の中心点です。
要は絵の中心です。
スクリーン全体の中心ではありません。
横方向について考える必要はありません。
縦方向で考えてください。
見上げ角度は15°以内が適しているとされますが、15°では見上げすぎて疲れるという方は5°~8°などお好みの角度を探してください。(個人的には5°程度が良いかと思いますが、その辺は個人のお好みで)
そうは言ってもスクリーンを見ても角度は分かりません。
よって、角度ありきで計算するのではなく、自分が見やすい、疲れにくいと思う映像の中心点を決め、その位置から床までの高さを測ります。
ここまでついてこれておりますでしょうか・・・あと少しですよ!
イメージセンターの高さをメモします。
イメージセンターの高さ:___________mm
例として1200mmとします。
目線の高さもメモしましょう。
目線の高さ:___________mm
例として1000mmとします。
5)スクリーンの寸法にあてはめて上黒を計算する
さて大詰めです。
これまで計測した値を元に上黒の長さが確定します。
ここまで測ったデータ(例)は、「天井の高さ:2400mm」「視聴距離:3000mm」「イメージセンターの高さ:1200mm」「目線の高さ:1000mm」です。
図で見ると下のようになります。

この情報をもとにスクリーンの商品にあてはめてきます。
スクリーンは主に下記で構成されています。
上から、ケース、上黒、イメージ、下黒、下パイプです。
この中で必要な情報は「ケース」の長さです。
これらは製品の外形寸法や図面から情報を得ることができます。
例えば、オーエスの100インチ電動スクリーン(EP-100HM)の場合、図面より下記の情報が得られます。

・ケース:140mm
・上黒:?(今回計算するところです)
・イメージ:1245mm(100インチの縦寸法)
スクリーンのサイズに「天井の高さ:2400mm」「イメージセンターの高さ:1200mm」を加えてみます。
すると、下記のような図が出来上がります。

ここまでくると、あとは引き算をするだけです。
上黒=2400(天井高)ー140(ケース)ー622(スクリーン上半分)ー1200(イメージセンター)=438mm
例の場合では438mmが導かれます。
このように順を踏んで計算すると、最適な上黒の長さを算出することができます。
簡単です。
見上げ角度を計算
見上げる角度の計算方法を紹介します。
上黒の最適長を計算するのに見上げ角度の計算は必要ありません。
しかし、先述の通り、見上げ角度15°以内が良いと書きました。
自分が設定した見上げ角度がどの程度か、見てみましょう。
ここで、「視聴距離:3000mm」「イメージセンターの高さ:1200mm」「目線の高さ:1000mm」を使用します。
底辺と高さから三角関数で求めることができます。
今回の例では底辺が3000mm、高さが1200-1000=200mmです。
この時の角度は3.8°と言うことになります。
まとめ
上黒の長さを最適長にすることで、スクリーンをすべて引き出し、平面性が高く最高の状態のスクリーンを作ることができます。
「天井の高さ」「視聴距離」「イメージセンターの高さ」「目線の高さ」と「スクリーンの製品寸法」から自分にぴったりの視聴ポイントに合わせた上黒の長さを導く事ができます。
是非、スクリーン選定の参考にしてください。
オーエスでは上黒カスタマイズも自由自在にできます。
下記フォームよりお気軽にご相談ください。